大前研一「週刊ポスト2006年5月号」掲載より参考


今、アメリカのビジネスマンは・・・

日本のビジネスマンは朝、まったく活気がない。みんな下を向いてしょぼくれて歩いている。これからほんとうに仕事が出来るのは心配になるくらい覇気がない。
朝に対する心理的な憂鬱さは、日本のサラリーマン独特の現象だという。
あれほど憔悴しきった顔で会社に行くサラリーマンの群れは、まず見たことがないという。
たとえば、ニューヨークのビジネスマンは、みんな背筋を伸ばして颯爽と歩いている。
アメリカのビジネスマンの朝は早い。高速道路は5時ぐらいから混み始め、6時ごろには渋滞が起きる。
猛烈社員型のエグゼクティブは、7時には会社に来ている。そして9時までにミーティングをいくつもこなしてしまう。
モーレツ社員型でない人たちも、たいがい朝は早めに自宅を出て、7時台から会社近くのスターバックスコーヒーやインターナショナル・パンケーキハウスなどで朝食をとりながら新聞などを読んでいる。
このブレックファーストの時間が、1日の仕事に臨むコンディションを整えるための「my time」になっている。

大前研一さんも、12時〜1時に寝て起床は5時。これは大学受験の「4当5落」と言われていた高校受験からつづいているそうです。5時起床のメリットは、海外との連絡がスムーズにいくこと。早朝は、アメリカやヨーロッパに電話するのに都合のいい時間帯だし、メールも帰ってくる。
朝の5時から9時までが非常に重要な時間帯であり、仕事のすべてといっても過言ではない。寝る前に明日やるべき事を考えているので、朝目覚めた時にはその為のコンディションが出来上がっている。だから起きるとすぐ仕事に取りかかることが出来る。しかも、朝は頭がスッキリしているし、こちらからかける電話以外は邪魔も入らない。
思考力的に一番調子のいい時間帯だから、細かいチェックが必要な書類や難しい仕事をかたづけてしまう。だいたい9時までに終わるので昼間は新しいことにチャレンジできる。

アメリカのビジネスマンは朝が早いぶん、夜も早い。基本的に午後5時になったらさっさと退社して帰宅の途につき自宅で家族と夕食を食べて午後10時ぐらいにはベット入る。
仕事が終わってから友人知人に合う場合でも、ダラダラ遅くまで飲んだりしない。
たとえば、マンハッタンのグランドセントラル駅にある有名な「オイスターバー」のピークは6時〜7時だ。お客は7時を過ぎると徐々に減り始め、8時になったら閑古鳥が鳴いている。
ここを利用するのは、ロングアイランドなどのニューヨーク郊外の住宅地からマンハッタンに電車通勤しているエリートビジネスマンだ。彼らは5時に会社を出て「オイスターバー」に立ち寄り、友人知人と歓談する。ただし、夕食は自宅で食べるから軽くつまむだけだ。

日本のサラリーマンは、明らかに世界でもっとも朝方人間ではない。
ただし、最近は通勤ラッシュのない早めの時間に会社を出て、近くのコーヒーショップで新聞を読みながら時間調整するというアメリカ型のビジネスマンもすこしずつ増えてきている。
とはいえ、アメリカの猛烈社員型エグゼクティブのように7時から仕事をバリバリやっている日本人は少ない。なぜか?
業績を厳しく計られてこなかった日本人の場合、なんとなく仕事はキャッシュレジスターが回っているときだけにしよう、という心理が働くからでなないかと思う。
一方、常に業績を厳しく計られるアメリカ人やイギリス人の場合は、自分が何をやらねばならないかという観点から仕事を考えるので、キャッシュレジスターが回っていよがいまいが関係なく、出来るだけ多くの仕事をこなすというスタイルになっているのだろう。
また、日本のサラリーマンは自宅に帰るのが遅すぎる。残業代がボーナス代わりになっていた時代のなごりで、未だに夜遅くまでズルズルと仕事をしている会社が多い。
つまり、日本のサラリーマンにも朝方人間が増えつつあるものの、どうしても夜が遅くなるから、まだ少数派にとどまっているのだ。
日本はアメリカに比べると、平均2時間は生活時間が後ろに行っている。

このライフスタイルを変えないことには、冒頭に述べた朝の出勤風景も変わらない。
これからは、いかに朝の時間帯を上手に使うかという事が、プロフェッショナルになれるか否かの分かれ道になるのだ。

と、大前研一さんはいっています。(-_-)   いくらか参考になりましたでしょうか。