ホテルマンのシエスタ


Mckinsey & Company  

なぜ、マッキンゼー出身者は各業界で活躍出来るのか?
一体、マッキンゼーでは何を叩きこまれるのか?
世界最強のコンサルティング会社で実践される問題解決ノウハウを伝授!


大嶋祥誉著より



生産性が低い → 仮説を立ててから仕事を始める

仕事がおそい → 効果重視アイデア重視かを区別する

上司に時間を貰えない  「1分だけよろしいですか?」と話しかける

報連相が苦手 → 上司をメールのCCに入れて、常に進捗を確認させる

会議が長い  会議は報告、レビュー、ブレスト、チーム作りの4つに分ける

相手の懐に入れない  自分との共通点を探してもらう仕掛けをする

ダメな原因が分からない → クリティカルシンキングで原因と結果を分析する

部下に任せられない → 期限とゴールイメージを明確に伝え、託す

的確な助言が出来ない → 相手と同じ土俵に立たずに助言する

情報が少ない → まよわず現場に行く

うまく伝わらない → 要点を3つに分けて、30秒で伝える

説得力がない  まず事実を伝えてから、意見をプラスする

意見を言いにくい → 自分の主張は質問に込める




意) レビューreviewとは  ブレストとは  クリティカルシンキング



<参考>

 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/7月20日号)は、「マッキンゼー学校」という特集を組んでいる。

    

 「意思決定を行う経営者に対して、切れ味鋭い助言を行うコンサルティングファーム。
このブレーン集団の世界には、明確な序列がある。
自他共に2大ファームと認めるのが、マッキンゼー・アンド・カンパニー(マッキンゼー)とボストンコンサルティンググループ(BCG)。
なかでも『ザ・ファーム』と呼ばれ、別格なのがマッキンゼーである」

 経営戦略を専門に行うコンサルティングファームの中で、最大規模のマッキンゼーに迫った特集だ。

 そもそも、マッキンゼーは、シカゴ大学の会計学教授だったジェームズ・マッキンゼー氏が、1926年に会計や財務に力点を置いたコンサルティングファームを設立し、早世した同氏の遺志を継ぎ、33年に入社した弁護士出身のマービン・バウワー氏が、大企業の戦略策定に比重を置くスタイルを確立したものだ。

 「今では、50カ国以上に約100の事務所を構える。
世界には1万7000人以上の社員(うち9000人以上がコンサルタント)がいる。
米『フォーブス』誌の調査によると、年間売上高は75億ドルで全米の非上場企業としては、47番目の売り上げを誇る」という。

 大きな規模になっても、「ワンファーム」としての一体運営が維持されている。
「所属コンサルタントは国籍に関係なく、世界中のプロジェクトにかかわる。
業種別(エネルギー、ヘルスケアなど)、機能別(コーポレートファイナンス、組織など)のグループに分かれ、グローバルレベルでのベストプラクティス共有に努めている」

 マッキンゼーの代名詞ともいえるのが、客観的なデータに基づくファクト主義。
20代の若者でも価値を発揮できる「ファクト・ベースト・コンサルティング」を生み出した。
20代のうちに、社員はコンサルティングの最新スキルが叩き込まれるのだ。

 新卒の年収は600万円前後だが、昇格すると1300万円前後に跳ね上がる。
ただし、成績が不振となれば、「アップ・オア・アウト(昇格できない者は去れ)」とされ、社内にとどまれる雰囲気ではない。

 同社が、最近脚光を浴びているのは、そのコンサルの手法というよりも、リーダーシップのある人材を育成し、その人材が政財界で幅広く活躍していることだ。

 「マッキンゼー・マフィア」との異名も持つ2万7000人にも及ぶアルムナイ(卒業生)のネットワークがあり、「そのアルムナイからは、英国のウィリアム・ヘイグ外相、日本の茂木敏充・経済産業相のようなパワーエリートが輩出されている。
IBMを立て直し、2003〜08年にカーライル・グループ会長を務めたルー・ガースナー氏も卒業生だ」。
日本では、元日本支社長にして著名文化人の大前研一氏、DeNA共同創業者の南場智子氏、経済評論家の勝間和代氏や、最近では、ミクシィ社長の朝倉祐介氏、オイシックス社長の高島宏平氏……多くの著名人を輩出しているのだ。

 最近の目立った傾向として、若手は入社後数年で辞めてしまいがちだ。
「卒業生の活躍は人材育成に成功したことの証し。卒業生の成功はマッキンゼーの成功そのものだ」と特集内でジョルジュ・デヴォー日本支社長が語っているが、「アップ・アンド・アウト(昇格して去る)が増えている」らしく、優秀な人が辞める傾向が強くなっている。
「リーマンショック以降、厳しくなっている。
外に出たほうが活躍の機会があると考える人は多い」ということのようだ。

 つまり、社内で活躍することを目指さず、外に出てマッキンゼー学校で学んだスキルを発揮し、政財界で活躍しているということだ。

 私もマッキンゼー出身者に取材をしたことがあるが、実は中にいるよりも、外に出た後のほうが儲かるのだという。
企業にとって、多額の顧問料を払う必要があるため、マッキンゼーにコンサルを依頼するのは敷居が高いが、「元マッキンゼー」のコンサルタントであれば、マッキンゼー並みの最新の分析にもかかわらず、顧問料は安く済む。
安い顧問料といっても、独立したコンサルタントにとっては十分な金額であり、マッキンゼー社員にとっては独立のインセンティブが確実にある。
このため「元マッキンゼー」という肩書が目立ち、「マッキンゼー学校」が注目されているということのようだ。
日本で「元マッキンゼー」というブランドが強い限り、この傾向は続くだろう。

 特集では迫れていないものの、マッキンゼーが把握すべきイシューはどこにあるのか。
イシューとは、「今、この局面で解決をしなければいけない本質的課題」のことで、このイシューの設定および実行が、マッキンゼーの社員に求めるスキルなのだ。

 そのイシューをズバリと言い当てているのが、冨山和彦経営共創基盤CEOだ。
特集記事「インタビュー BCGとは何が違うのか?」の中で、BCG出身の冨山氏は、BCGはリベラルで、マッキンゼーは「もともと原理原則の縛りがキツい」と比較したうえで、マッキンゼーが直面している壁を解説している。

「1990年代までは情報の非対称性を利用し、『アメリカでは』と最新理論を紹介する『出羽の守商売』ができたが、主要な情報はすぐに翻訳されてシェアされる時代になり、成り立たなくなった。しかも、大企業にはMBAホルダーがたくさんいる」。
このため、コンサルタントへの新しいニーズは「経営企画室が行うような調査業務」に変わった。
BCGはこの変化に対応できたために、日本におけるビジネス規模、コンサルタント数はマッキンゼーを上回ったのだという。

 確かに、日本支社長も2006年以降、日本人が就任しておらず、順風満帆とはいえなそうだ。

 東洋経済新報社も、東洋経済オンラインでは「グローバルエリートは見た! ハーバード・マッキンゼー信仰にモノ申す ハーバード、マッキンゼー、やかましい!」(http://toyokeizai.net/articles/-/13726)というコラムを掲載し、その中でプライベートエクイティ投資家・ムーギー・キム氏は
(1)東大・三菱商事信仰から、ハーバード・マッキンゼー信仰へのシフトは、国内経済停滞とグローバル志向の表れだ。
(2)経歴のブランドを盲目的に信仰せず、なかには大したことない人もいるので、学歴で騙されず、その人の言動の質で正しく判断してほしい。
(3)英語がうまくて若くて頭もそこそこ良ければ多様性枠で挑戦できて、必ずしも雲の上の世界ではない」とマッキンゼー信仰を揶揄している。

(文=松井克明/CFP)