ホテルマンのシエスタ
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工藤 直子さんの詩集から -------------------------------------- ねがいごと たんぽぽはるか あいたくて あいたくて あいたくて あいたくて ・・・ きょうも わたげを とばします -------------------------------------- あいたくて だれかに あいたくて なにかに あいたくて 生まれてきた ―― そんな気がするのだけれど それが だれなのか なになのか あえるのは いつなのか ―― おつかいの とちゅうで 迷ってしまった子どもみたい とほうに くれている それでも 手のなかに みえないことづけを にぎりしめているような気がするから それを手わたさなくちゃ だから あいたくて -------------------------------------- また あいたくて さよらな三角 またきて四角 またあえるね と うたってた さよらな春 さよなら夏 さよなら秋 さよなら冬 さよならを くりかえし さよならを つみかさね また あいたくて なにかに きょうも あるいていく ---------------------------------------- 痛い すきになる ということは 心を ちぎってあげるのか だから こんなに痛いのか ---------------------------------------- こころ 「こころが くだける」というのは たとえばなしだと思っていた ゆうべまで 今朝 こころはくだけていた ほんとうに ひとつひとつ かけらをひろう 涙がでるのは かけらに日が射して まぶしいから くだけても これはわたしの こころ ていねいに ひろう --------------------------------------- 夜なか 寝返りうたなきゃ さびしくて 寝返りうつと なおさびしくて --------------------------------------- 花 わたしは わたしの人生から 出ていくことはできない ならば ここに 花を植えよう --------------------------------------- わからん 手を のばしてみる その手の 指さすむこうに なにが あらわれるか……わからん 足を踏みだそうと 宙に浮かす その足が 着地する世界は わたしを どこに導くか……わからん それが まったく わからんので それが まったく わからんからこそ まず 手をのばし 足を踏みだす |