ホテルマンのシエスタより


<医療サイエンス>

血糖値改善に高い効果

インスリン増加新ホルモン ハーバード大チーム マウスで確認

【ワシントン発】 2013.4.27

血糖値の調節作用がある「インスリン」の分布を増やす新しいホルモンを発見したと、米ハーバード大学の研究チームが25日、米科学雑誌セル(電子版)で発表した。
糖尿病治療の動物実験ではインスリン注射より効果が高く、1回の注射で効果が1年続く画期的な治療になる可能性もあるという。

同大学幹細胞研究所のダグラス・メルトン所長らは、肝臓などで分泌される新しいホルモンを見つけ、「ベータトロフィン」と名付けた。
このホルモンは、膵臓でインスリンを作る「ベータ細胞」を増やす働きを持つ。
増えたベータ細胞は必要に応じてインスリンを分泌し、血糖値を下げる。
研究チームは糖尿病マウスにベータトロフィンを与えると、ベータ細胞が最大で30倍に増え、血糖値が改善した。
研究チームは、3〜5年で臨床試験に入るとしている。

現在の糖尿病治療は、1日3回程度、インスリンを注射する必要がある。

ベータトロフィンは血糖値を改善する効果が高いため、実用化されれば、注射は週1回〜月1回、場合によっては年1回で済む可能性があると研究チームは見ている。

京都大学物質-細胞システム拠点の中辻憲夫教授は、「重要なホルモンを見つけた素晴らしい発見だ。
人間で有効性を確かめる必要はあるが、早い段階で薬として実用化できるかもしれない」と話している。