ホテルマンのシエスタ
腎臓結石は小さいものならジェットコースターに乗って排出できるかもしれない――。
米ミシガン州立大学の研究者らがこのほど、そんな研究結果を米整骨医学会誌に発表した。
ぎゃ〜〜〜
ジェットコースターに乗って身体を揺さぶられると腎臓も揺さぶられ、結石が器官を通過できることがあるという。
論文を発表したのは同大のデービッド・ウォーティンジャー教授。
きっかけはある患者の証言だった。
この患者はフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドにあるジェットコースター「ビッグサンダー・マウンテン」に乗ったところ、3個の結石が出たという。
「どれほどの皮肉屋でもこの手の話は無視しがたい」というウォーティンジャー教授は、早速実験に乗り出す。
人の腎臓を精巧に再現したシリコンモデルを作成して尿と結石を詰め、バックパックに入れて同僚と2人でディズニー・ワールドを訪問。
2人の間に腎臓の高さでバックパックをはさんでビッグサンダー・マウンテンに繰り返し乗車した。
その結果、乗車中に結石が移動する様子が確認された。
コースターの後部車両に乗った方が結果は良く、約64%の確率で結石が出たという。
なお、ディズニーには事前に許可を得た。
もちろん効果はディズニーのコースターにとどまらず、「休暇で遊園地に出かけたら結石が出たという人は何人もいる」と同教授。
最初の論文は20回の乗車経験をもとにまとめたが、その後230回以上も同じ実験を繰り返し、70%近い確率で結石が出ることを確認したとしている。
結石に適度な振動や揺さぶりを与えることで腎臓から膀胱(ぼうこう)への通過が促されると教授らは見ている。
この「ローラーコースター療法」は、結石が小さい場合に効果があるといい、「4ミリ以下の結石であれば手術をしなくても、それほど苦もなく出すことができるはず」と同教授は話している。
これに対し専門家の見解は賛否両論あるようだ。
ジョージア州の泌尿器科医師、ジョン・パッタラス氏は、「結石は腎臓の下極にあることが多く、通過するには集合管の真ん中まで上がってこなければいけない」と語り、急激な動きが結石の通過を助けるとの考えに理解を示す。
一方で、ニューヨーク市の泌尿器科医師、エリザベス・カバラー氏は、概念的には理解できるものの、どの程度治療に役立つかわからず、またやや極端な療法に思えるため、実際に患者に勧めることはないと語った。