ホテルマンのシエスタ
食中毒の原因になるのは、細菌やウイルスだけではありません。
動物や植物が持つ“天然毒”もまた食中毒の原因に。
「よく知られているのはフグやトリカブトの毒ですが、もっと身近なところにもたくさんあります。
野菜と間違えて食べてしまった、毒とは知らず口にしてしまった……。
こうして中毒を起こした例はいくつも報告されています。
毒のある食べ物についての知識をしっかり持っておいて欲しいものですね」(日本薬科大学教授・船山信次先生)
私たちの身近にある、毒を含む食べ物をご紹介。知っておけば安心です!
<どんな毒?>
ジャガイモの芽とその根元、また皮が緑色になった部分は、ソラニン、チャコニン(カコニン)という毒成分を含有。
これを摂取すると、下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ることが。
<対処法>
芽が出たジャガイモは、芽だけでなく、芽の根元までしっかり取り除くこと。
緑色になったものは、皮を厚めにむいて食べるようにして。
<どんな毒?>
ギンナンに含まれる4’-メトキシピリドキシンは、脳内の神経伝達物質GABA生成に重要な役割を担うビタミンB6の働きを阻害。
大量摂取すると脳内GABA不足になり、けいれんなどを引き起こす。死亡例も。
<対処法>
昔から「ギンナンは年齢の数以上食べてはいけない」と言われているように、とにかく食べ過ぎないことが大事。
特に小さな子供は要注意。
<どんな毒?>
モロヘイヤの種子に含まれるオリトリサイドは、心臓毒成分を含有している。
牛にモロヘイヤの実がついた枝を与えたところ、食欲不振、起立不能、下痢などを起こし、死亡した例もある。
<対処法>
市販されているモロヘイヤの葉や健康茶は心配しなくて大丈夫。
家庭菜園をしている人は、収獲期の葉を食べることを守って。
<どんな毒?>
季節感を出すために料理の盛りつけとして使用されたアジサイの葉を食べた人がおう吐などの中毒症状を示した事件が。
これはアジサイの葉に含まれるフェブリフジンやイソフェブリフジンが原因と思われる。
<対処法>
アジサイの葉は見た目が大葉に似ているため、注意すること。
また、小さな子どもがいる家庭では、うっかり口にしないよう、しっかり監視を。
<ワラビ>
ワラビに含まれるプタキロサイドという物質には発ガン性が。
ただし、熱湯でしっかりアク抜きをすれば、発ガン性は消失。
<たけのこ>
たけのこはタキシフィリンという青酸配糖体を含有。
この物質は熱に弱く、35〜40分の煮沸で分解するため、よく茹でること。
<スイセンの葉>
リコリンなどのアルカロイドを含み、食べるとおう吐や下痢などの中毒症状が。
ニラの葉と間違いやすいため要注意!
<フグ>
猛毒のテトロドトキシンを持つ。
毒の強さはフグの種類や部位によって異なり、一般的には肝臓、卵巣、皮の毒力が強いとされる。
<青梅>
未熟な果実や種の中心部分には毒成分があり、生の梅を食べると、頭痛、めまい、けいれん、呼吸困難などの中毒症状が出ることが。
<はちみつ>
ツツジ科の植物はグラヤノトキシンという毒性物質を含有するため、ツツジ科の花から採れたはちみつで中毒を起こすことがある。
ニラと似ているスイセンの葉や、大葉と似ているあじさいの葉など、身近なものでも勘違いで摂取してしまうと危険な目に。
特に子供などは外で遊んでいるときなど、不注意で口にしたりすることもあるので気をつけて。
また、きのこなどもよく食中毒の例として挙げられるもの。
自生している植物などは自己判断で食べたりしないように心がけましょう。