ホテルマンのシエスタより



007 ジェームズ・ボンド



英国のスパイ、ジェームズ・ボンドが活躍する、007シリーズの第1作が公開されて今年(2012年)で50年。
イアン・フレミング(1908年〜1964年)のスパイ小説を映画化したシリーズ第1作は「ドクター・ノオ」。
ショーンコネリー演じるジェームズ・ボンドが初めてスクリーンに登場したが、最初はBクラスのサスペンス映画だったが、いがいに面白いと評判になったという。
その後、シリーズ史上最高傑作と呼び名高い、「ロシアより愛を込めて」「ゴールド・フィンガー」と続き、人気を不動のものとした。
ボンドガール、悪役、車、銃、秘密兵器、テーマ曲と主題歌がシリーズにとって不可欠となり、人気のスパイ映画のスタイルを確立した。

しかし、スパイの活躍が現実味を帯びていた冷戦時代が終わり、人気に陰りが見え始める。
最先端にいたはずのシリーズが時代を追いかけるようになっていった。
女性の時代を迎え、酒と女に溺れているわけには行かなくなったようだ。
ボンド役も、野性的なコネリーの後、3代目ロジャー・ムーアが英国紳士風のボンドを演じていたが、続いて、ティモシー・ダルトン、ピアーズ・ブロスナンが登板しても、目を見張るような人気回復ははたせなかった。

しかし、ようやく命を長らえているかのようだった1980年、90年代が終わり、2000年代に入り、ダニエル・クレイブが新しいボンド像を打ち出した。
ブロッコリは、「彼は、ボンドに人間味をもたらした。カジノ・ロワイヤルで、観客は初めて、ボンドの葛藤や痛みを知った」と話す。
半世紀にも及ぶボンド人気を支えたのは、「時代に順応して、変化を取り入れることが可能なキャラクターだったから」とブロッコリ。

本日(2012.12.01)公開の「スカイホール」では、さらなる50年を見通した展開が見られる。
ボンドが、スパイが活躍する時代を生き抜き、次が始まるという、第1歩を見せる。
また、50年続く、と期待する。
2012.12.01


1962年 ドクター・ノオ ショーン・コネリー
1963年 ロシアより愛をこめて
1964年 ゴールド・ファインガー
1965年 サンダーボール作戦
1967年 007は二度死ぬ
1971年 ダイヤモンドは永遠に
1969年
女王陛下の007 ジョージ・レイゼンビー
1973年 死ぬのは奴らだ ロジャー・ムーア
1974年 黄金銃を持つ男
1977年 私を愛したスパイ
1979年 ムーンレイカー
1981年 ユア・アイズ・オンリー
1983年 オクトパシー
1985年 美しき獲物たち
1987年 リビング・デライツ ティモシー・ダルトン
1989年 消されたライセンス
1995年 ゴールデンアイ ピアーズ・ブロスナン
1997年 トゥモロー・ネバー・ダイ
1999年 ワールド・イズ・ノット・アナフ
2002年 ダイ・アナザー・デイ
2006年 カジノ・ロワイヤル ダニエル・クレイブ
2008年 慰めの報酬
2012年 スカイフォール
2015年 スペクター






おいしい酒に対するボンド一流のこだわり



ジェームズ・ボンドは博識だ。昆虫なら蝶の種類、植物なら蘭の種類にも詳しくてMを驚嘆させている。
彼の「味わうもの」に対する探究心はなみなみならぬものがある。
女性はもちろん、口に含む嗜好品には人一倍なのだ。

ボンドといえば、「ステアでなくて、シェイクしてくれ」のウォッカマティーニが有名だ。
原作のボンドも、シガレットのタバコの葉を自分の好みにブレンドしているほどの男。
酒にも深いこだわりを持っている。

ブランデーを味わえば、「ボン・ボアが強い」とひとこと。(ゴールドフィンガーより)。
※風味が派手で、ベースになっている酒の成熟度が足りないという意味。

シェリーを味わえば、ベースになったワインの年代までピタリとあてる。
(ダイヤモンドは永遠により)

ワインならボルドーワイン(英国ではクラレットと呼ぶ)やブルゴーニュワインにもうるさいが、「シャトー・ムートン・ロードシルト」などはヴィンテージ(収穫年)毎に飲みまくっている。

彼一流の酒に対するウンチク、時に「スノビズム」と感じられるこだわりは、おいしい物をおいしく飲みたいという彼の欲望にすぎないのだ。

普通ならジンベースのカクテル、マティーニをウォッカ・ベースににして飲むのが彼らしいこだわりだ。
しかも味をまろやかにするため、ステアではなくシェイクを注文して飲む。

尚、最1作の「ドクター・ノオ」以来、アメリカの<スミノフ>がオフィシャルウォッカになっているので、ボンド流マティーニは、それで飲むのが正しい。「ダイ・アナザーディ」が唯一の例外で、<フィンランディア>が公式ウォッカだった。

その第1作でも、ジャマイカでの1日の任務を終えたショーン・コネリー演じるボンドがスーツのジャケットを脱ぎ、拳銃を入れたホルダーを着けたままで、スミノフをグビリと飲るシーンには男の色気が充満していた。

また原作者フレミングが「カジノ・ロワイヤル」を書く時、ボンドの恋人ヴェスパーリンドにちなんで考案し、名づけた<ヴェスパー・マティーニ>をダニエル・グレイグも’06年の映画版で飲んでいる。

<ヴェスパー・マティーニ>のレシピは、
ゴードンジン・・・1/3 
スミノフウォッカ・・・1
キナ・リレ(ボルドー産アペリティフワイン)・・・1/2

を加えて氷を入れシェイクしグラスに注ぎ、らせん状に細くカットしたレモンの皮を入れるというもの。
キリっとしたいかにもボンドが好きそうな辛口のカクテルだ。

ゴールドフィンガーでも<ミント・ジュレップ>を飲むが、砂糖を控えた味を注文するように、彼は辛口が好みだ。

マティーニと並んでボンドが大好きなのが、辛口のシャンパンだ。
「ゴールド・フィンガー」では、「ドン・ペリニオンは3度以下に冷やして飲む」というが、いかにもボンドらしい個人的ルールの披露がある。

彼は、「ゴールド・フィンガー」では’53年もの、
「ドクター・ノオ」「サンダーボール・作戦」では’55年もの、
「女王陛下の007」では’57年もの、
「007は2度死ぬ」では’59年もの、
「黄金銃を持つ男」では’64年もの
と、<ドン・ペリニオン>のヴィンテージものをほとんど飲み尽くしている。

’70年年代になってから、スポンサーがモエ・シャンドン傘下の<ボランジュ>にかわり、「死ぬのは奴らだ」「ムーンレイカー」「美しき獲物たち」で、ボランジュはロジャー・ムーア演じるボンドのラブシーンに欠かせない小道具となった。

「私を愛したスパイ」では、悪役ストロンバーグの脱出カプセルにドン・ペリニオンが備えてあって、これでシリーズからサヨナラとなった。

以後、ピアーズ・プロスナンやダニエル・グレイグが演じるボンドのロマンティックシーンには洗練されたデザインのボランジェのボトルが用意された。


※ホテルのバーテンダー時代、よくジェームズ・ボンドの飲んでいるマティーニのオーダーがありました。




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